生産者としての想い 豆伍心 大鳥井守
同じものづくりの生産者としてこのツアーに参加させていただきました。この時期フィリピンは雨期に入り。私がプレゼンをしたパンダノン村では、午前中は、晴れていても、午後になると強い雨で、近くの圃場は見学できませんでしたが、家のすぐ横のサトウキビを切って皆に渡してくれたり、すぐそばのフルーツを切って皆に渡して採ってくれたり、傘がわりにとバナナの葉を切ってくれたり、できる限りの手料理や、おもてなしを受けました。私はこの村で、同じものづくりの生産者として。プレゼンをしました。豆腐生産者の私は、まだ見たこともない豆腐の作り方、こだわり等、写真を交えて、お話したのですが、その時の組合員さん、その家族の方々の目の輝き、表情がとても印象的でした。大豆は知ってもらっていましたが、そこからどのように豆腐を作るのか、イラストで説明すると、食い入るように見つめながら、私たちでも作れるのか、にがりは、私たちも海水から同じように、塩田で塩を作っているので、それを使ったら出来るの等、本当に真剣に聞かれました。私は、何か今まで忘れてしまっていたような、情熱、思い等、改めて思い起こされたような思いになり、新たに頑張ろうという思いになりました。私たちが住む日本では当たり前のように、モノがあふれ何でも手に入る環境の中、忘れてしまっているものづくりへの思いがそこにはあるように思いました。昔に比べるとバランゴンバナナを作ることで生活も安定し、昔地主に雇われた農業労働者、収穫時期のみ収入を得る事のできなかった時代から、今は自分たちで、苦労しながらでも、作物を作り、まだまだ不完全ながら、自立への道が開けたが、今後もっと発展していくためには、農業の環境づくり、特に交通手段の道の整備がもっと進められたらと思いました。ATPI、ATPFの方もまだまだ、政府からの援助も限られているし、大切なのは、少しでも資金援助のために、バランゴンバナナ、マスコバ糖等を広く、長く普及していくことが生産者の自立に繋がるという事でした。バランゴンバナナから始まった小さな交流が、ネグロスの人達の意識をかえ少しづつ自立へと繋がったのだと思います。
・ツアー参加者:森田穣二さん:生活クラブ生協京都エル・コープ(職員):吉田正美さん:エスコープ大阪(組合員):佐藤文子さん:生活クラブ生協都市生活(組合員):大鳥井守:㈱豆伍心(社員):日紫喜啓子さん:エスコープ大阪(組合員):山口幸子さん:生活クラブ生協奈良(組合員):小倉香住さん:生活クラブ生協大阪(組合員):赤松結希さん:ATJ(オルタートレードジャパン:社員)
ネグロス報告書
豆伍心の大鳥井です。よろしくお願いします。
今回パンダノン村についてです。
パンダノン生産者協会は2006年に、協同組合登録され、女性13:人、男性9人 計22人から発足しました。当初は、バランゴンバナナが主体でしたが、病気や、天候に左右されることもあり、安定した収入をえるため、2012年には、サトウキビ栽培を、ATPIの貸付で生産者ローンを組み、40haの土地から生産を始めました。2015年には、ATPIの協力のもと、サトウキビの有機の認証を取得し、他の生産者との差別化を図りました。サトウキビのマスコバド糖は、ATPIによって、プレミアム認証が受けられ、16年には4000ペソ,17年には5000ペソ、18年には、7000ペソ得ることができ、その50%はメンバーで、土地所有の割合で、分配する一方、残り50%は、組織の運営に使い、また、家畜の購入や、学用品、薬等を扱うストアの設立、運営にも当てられ、組合員の生活の向上と安定に大きく繋がりました。こうしたことは地域の利便性、活性化にも繋がり、住民にも還元されていました。当初はバナナとサトウキビが主体でしたが、近年ではサトウキビは年1回の収穫のため、もっと短いスパンの作物で収入の安定をはかるため有機による野菜、芋、米、果物などを生産しATPIを通じて販売を始めました。またATPIが、その土地出身の農業指導員を、各地区において、バナナ、サトウキビは勿論、他の有機による野菜、果物の栽培方法,またその土地の枯れ木や、家畜(にわとり,カラパオ等)の糞を有効利用した堆肥づくりなど、技術の普及に大きく貢献しました。一方では、若い農業の担い手を育てるために、カネシゲファームに研修生を送り、人材の育成を進めました。パンダノン村では、その一人がマイケルさんでした。マイケルさんは、農業技術、畜産、BMWなどを一体化した有機循環型農業を学びながら、そこで得たものを、自分の土地に戻り、実践し、普及することが目的でした。カネシゲファームでは、卒業するときに、1頭の子ブタが与えられ、自分の土地で、育てながら年に3~4回種付けをし繁殖させ、1頭当たり2000ペソで売ることによって収入を得ました。また豚舎には、糞尿を集めて、スラッジ(汚泥)を作り、それを作物に与える仕組みになっており同時にバイオガスタンクが豚舎の下に作られて、燃料として使用できる仕組みになっていました。これらは全てカネシゲファームで学んだ有機循環型農業が実践されているものでした。私はこの村で、組合員またその家族の人達に同じ生産者として、豆伍心の豆腐の作り方、こだわり、安全性等、イラスト、写真を交えて説明しました。プレゼンの最後では、過去豆伍心でツアーに参加した、本田氏、奥原氏を写真と共に二人のメッセージを伝えたら組合長のドローレスさんがとても懐かしがり、感動してるのを見て本当に交流することの大切さを思いました。ドローレスさんは、日本の消費者が食べ続けることで、私たちもここれからもずっと作り続けることで協力していきたい。本当に日本の皆さんには感謝しています。とのことでした。これはバランゴンバナナが繋ぐお互いの顔の見える関係だと思います。これからもずっと続けることで互いが安心して作ること、食べる事の関係だと思います。これからもずっとこの交流を続けたいと思いました。㈱豆伍心:大鳥井守
※補足※
・生活クラブ関西さんでは、バランゴンバナナ取扱い開始の1990年代の半ばから現地への訪問ツアーが始まり、これまでそれどれの単協でツアー実施されてきました。2014年からは、関西6生協(エスコープ大阪・生協都市生活・生活クラブ大阪・生活クラブ京都エル・コープ・生活クラブ奈良・生活クラブ滋賀)共催での現在の形のツアーを続けています。当初の飢餓への救済・支援の時期から、現在では自立した「お互い様」の交流へと状況も変化してきました。今ではネグロスの各地域に「生産者協会」が設立されており、ツアーでは「お互いを知り、知らせる交流」を基本として生産者協会との交流を中心にツアー運営を行っています。1.生協で取組んでいる活動を「プレゼン」として現地で紹介する。2.現地の生産者協会の取組みの進捗(変化)を定点交流により把握する。3.スタッフであるATPI(オルタートレード・フィリピン社)にも、生協の仕組みを理解してもらう。等々を目的に、各単協理事も参加する「ネグロスツアー実行委員会」で事前学習会や打ち合わせを何度も重ねて現地を訪問しました。実際に訪問し交流した内容を通じて、訪問すあが感じ取った「民衆交易」を具体的にお伝えしています。
・今年は2年ぶりの訪問となりました。初めて訪れる「パタグムラ」・「マンティケル村」、何度もお世話になっている「パンダノン村」を訪れて、様々な条件の中で「バランゴンバナナ」の生産に励んでいるパートナーの皆さんを交流しました。又、都市部バコロドを中心に活動をスタートした消費者組織「マムズアクロスザフィリピン」の名さんとも交流し意見交換を行いました。フィリピンでも急激に欧米化が進む「食」の問題に対して、母親の視点からの運動が始まっています。もちろん、肝心のバランゴンバナナの栽培状況の視察をとわせて、参加組合員自ら収穫体験や洗浄箱詰めの体験も実地しました。遠く離れたフィリピンから様々な想いと希望を込めて送り出されるバランゴンバナナ。安心安全はもちろん民衆交易の価値を是非みなさんと一緒に考え行動していきましょう♪♪